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青春に終わりはないと知る。【Netflix火花:ネタバレ】

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泥臭く、生々しく、ヒトである。
芸人としての大成を目指す青年達の、解散までの10年を描く本作は話数を重ねるごとにリアリティが増し、まるで友人の生き様を見聞きしているような錯覚に陥るほどだ。

原作者である又吉にも似た、ニヒルで暗めな主人公トクナガと、繊細な破天荒、師匠であるカミヤの二人を中心として物語は進んでいく。
相方との葛藤、母のような優しさを持つ師匠の彼女との生活と別れ、事務所社員や各関係者の温かさや残酷さ、成功者としての立ち振舞い、師匠の堕落。

本当に、本当に沢山の、数えだすとキリがないほどピックアップしたいシーンやストーリーがあるのだが、火花を語るに何よりも外せないのは全話を通しての林遣都さん演じるトクナガの成長であると考える。

 

物語において、主人公の成長ほど分かりやすく、外せないポイントをなぜわざわざピックアップするのか。
それは成長を表現するにあたっての緻密さに他ならない。

駆け出し時代は垢抜けない、しゃべり方も表情も頼りない姿。
舞台に立ち出した、エネルギーに満ち溢れる姿。
芸人としてピークの時期には、師匠への気遣いと後輩への威厳を。
落ち目の時期の焦りと葛藤。
解散という決断、堕ちた師匠を正そうとする大人の顔。

役者さんの演技はもちろん、服装、髪型、セリフ、演出上の全てがトクナガの“今”を映し出すコトに懸けている。それこそ、その場の匂いを感じさせるほどに。

何故こうまで思えるほどに“今”を繊細に描くのだろう、自問自答し一つの結論を導き出す。
“今”が輝かなければ、強烈で鮮烈な印象を与えられなければ“青春”は成り立たない。
青春を描く映画として、手を抜けない部分だったのだろうと考える。

そして、もう一つ気づきを得る。
青春とは過去だ。時代ではない。
学生だけのものでも、20代のものだけでもない。
“今”を強烈に、鮮烈に生きてさえいれば、何歳でも変わらずそれは青春に置き換わる。
それはストーリーの後に歩んでいくトクナガも、カミヤも、現実世界を歩むわたし達も何も変わらない。

「生きていく限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ」

劇中最後の一言は、成功も、失敗も関係ない。力強く生きていれば自身の青春は終わらないのだ。そう、火花は私に教えてくれた。

 

 

 

 

Netflix火花お題「ドラマ火花の感想」

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